前回は、「第5回 保険金と税金」と題し、死亡保険金を受け取るときに課税される税金についてご説明いたしました。まだご覧になっていない方はぜひご一読ください。
医療保障とは、病気やケガで入院したり手術したりしたときに給付金が支払われるものです。老若男女問わず必要となる保障であるので、その必要性は皆さんどなたも感じていると思います。ご自身の医療保障の必要額を計算する上で、公的医療保険でカバーできる範囲を知っておくことが必要となりますので、まずこれを説明いたします。
○ 公的医療保険でカバーできる範囲 ○
サラリーマンの家庭の場合、加入している保険は「健康保険」です。
自己負担金は本人・家族に関わらず、入院・通院ともかかった医療費の3割で、7割は加入先の健康保険から支払われます。
ただし、入院中の食事代(1食260円)や差額ベッド代(大部屋以外の部屋に入った場合の室料)は健康保険からは給付されず、全額自己負担となります。
また、がんなどで入院した場合には健康保険適用外の「先進医療」を受けるケースもあり、これにかかった費用も全額自己負担となり注意が必要です。
○ 「高額療養費制度」と「傷病手当金」 ○
入院医療費の7割は健康保険から支払われるとしても、長期間の入院となると自己負担の額は多大なものになってしまいます。
そこで健康保険では「高額療養費制度」が設けられています。
これは、1ヶ月の自己負担金が限度額を超えた時に、超えた分を高額療養費として払い戻される制度です。
例えば、70歳未満で月収53万円未満の人で、1ヶ月の医療費の自己負担額が80,100円を超えた場合に適用されます。
ただし、医療費の自己負担額が同じ月の1日から末日までの間に80,100円を超えなければ対象になりません。
また、同一の医療機関で同一の診療を受けて自己負担金が80,100円を超えなければ対象になりません。
入院にかかった費用と通院にかかった費用も別計算となります。
このように、さまざまな条件がついた高額療養費制度ですが、一つの病気やけがで、一つの病院に長期間かかった場合などには非常に有用な制度です。
一方「傷病手当金」は、病気やケガの治療のために仕事を休み、給料を受け取れなかったり少なくなった時に一定の条件をクリアすれば支払われるお金です。
傷病手当金は欠勤4日目から支払われ、1年6ヶ月を限度に受け取れます。
金額は欠勤1日について、標準報酬日額の6割となっています。
○ 実際の医療負担額を計算すると・・・ ○
ある会社員(標準報酬日額1万円)が胃がんで入院した場合の医療負担額を計算してみましょう。
厚生労働省のデータによると胃がんの治療費は平均約117万円、平均入院日数は約39日間です。(平成15年 社会医療診療行為別調査、平成14年度患者調査より) ※以下、治療費内訳、食事代、差額ベッド代、休業日数はあくまでも「例」となります。
| 入院日数 |
39日(10月7日〜11月14日) |
| 治療費 |
117万円(自己負担額は3割)
10月分=800,000円(自己負担金240,000円)
11月分=370,000円(自己負担金111,000円) |
| 食事代 |
1食260円
10月分(74食分)=19,240円
11月分(41食分)=10,660円 |
| 差額ベッド代 |
1日5,000円
10月分(25日間)=125,000円
11月分(14日間)=70,000円 |
| 休業日数 |
入院期間を含めて60日間 |
○ この場合、病院の窓口で支払った医療費の合計は以下のようになります。
○ 高額療養費による戻りが…
○ 上記のようになり、実際にかかった医療費は
○ さらに、傷病手当金が以下のように支給されます
(傷病手当金は事業主から労務に服さなかった期間について報酬が支払われる場合、報酬日額が疾病手当金の日額より多い時は支給はありません。少ない時はその差額分が支給されます)
こうして計算してみると、健康保険でカバーできる医療費がかなり大きいことがわかります。
しかし、差額ベッド代が1日あたり1万円以上かかる病院もありますし、先進医療を受ければ、自己負担の金額は高額になります。
また自宅と病院が離れたりしていると、看病する人の交通費も計算に入れなければなりません。
○ かしこい医療保険の入り方 ○
上の計算でもお分かりの通り、入院した時実際にかかる医療費は約1万円となります。(391,460÷39日=10,037円、それ以外に雑費がかかる)
傷病手当金は、お給料の代わりに受け取れる金額ですので計算に入れないほうがいいでしょう。
つまり入院日額1万円の医療保障があれば一般的には十分といえます。
ただし、がんの場合は差額ベッド代や先進医療費がかさむことが予想されますので「がん保険」に別に加入しておくことが必要だと考えられます。
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